愚かなり、わが恋
原題 these foolish thingsというジャズ名曲の日本語訳題名です。
この邦訳題名は、ブライアンフェリーのカバーソロアルバムで初めて私は知っ
たのですが、昔から、日本語訳はこれなのでしょうか。実は、この訳がとても
気に入っているのです。直訳的意味は、ほんの些細な事となるのでしょう。
別れた恋人を思い出させる細々とした事柄を羅列していくという、考えように
よっては惨めな男の歌です。
別れた今となっては、そういったばかばかしいほど小さなことでも、自分の心
を締め付けるという、私の中の失恋ソングとして上位に入る曲です。
ですから、愚かなりわが恋、となるのでしょう。
foolishをわざとfoolからの連想で、歌詞の内容を反映させたという点で、うまい
なあと思います。
邦訳の題名では、トンデモ訳から永遠の名訳までいろいろあります。それらは
表裏一体といえましょう。
ピンクフロイドの名盤原子心母は、atom heart mother が原題のまさに直訳で
した。そしてカバージャケットが、まるまる太った牛。わかったようなわから
ないような。そもそもプログレは、そういうものでいいのだと思います、プロ
グレ好きの私にとって。また、やたらに「愛の~」をつけたがる往年のフレン
チポップスのミッシェル・ポルナレフがいました。もちろん本人は、あずかり
知らぬことでしょう。
いろいろな本を読むと、これは誤訳だ!と鬼の首をとったようなものの言い方
をする人がいます。たしかに事実はそうかもしれませんし、それによりイメー
ジが180度変わってしまう場合もあったかもしれません。そうした間違いは
直訳すぎる訳であることが多いようですが、本来の意味と照らし合わせて楽し
むという意味では、その訳もまたアリなのではないでしょうか。
あんな訳もあったこんな訳もあった、そういった一つ一つの事柄が、私をあの
時代に引き戻していきます。