全国学力学習状況調査

文科省の進める全国学力学習状況調査の今年度の結果報告がそろそろ公表され

ます。本来、順位付けが目的ではないにもかかわらず、都道府県レベル、市町

村レベル、市町村内学校レベルでの順位付けがまことしやかに行われます。実

際、知事、市長、議員の挨拶の中で、そのことが話題になることもしばしばで

す。子どもたちの学力を上げなければ、これからインターナショナルで戦って

いくための国力が落ちてしまう。だから…、というのはわかります。私は、文

科省が目指す一人一人の学習の伸びを客観的にとらえて、次の学習意欲の糧と

するという目的には賛同します。そのために、各学校の先生方がどれだけ努力

をしているかも知っています。しかし、経済所得や親の学歴が高い家庭の子に

は太刀打ちできないと言うこともこの調査でわかってきています。お偉いさん

が、「うちは順位が低いからなんとかしろ。このままだと教育予算を削減する

ぞ」というのは、おかしな話です。

私は、子どもたちの学力を向上させることは大賛成です。学力とは生きていく

力なのですから。よく、学校で習ったことは社会で全然役に立ってない、と言

う人がいますがそれは違います。記憶すること、思考すること、集団協議する

ことなどすべてが、若い頃の脳を鍛え、それが生きる力になっているはずなの

です。おわかりかと思いますが、私の言う学力は数字だけで表されるものでは

ないと言うことです。よくいいますよね。天才とは99%の努力と1%のひら

めきでできていると。別の言い方をすれば、努力し続けることができる人を天

才と呼ぶのでしょう。たとえ、天才とまではいかなくとも、あくなき好奇心、

思考の持続性、そして問題解決能力は、社会人の学力としてつけなければいけ

ないことでしょう。私が危惧し、嫌悪するのは、数字で出た結果で、できる

子、できない子の烙印を押し、それを生産性という言葉に置き換えることで

す。どうか、お偉いさん方が意識を変えていただき、子どもたち一人一人が自

立できるような教育環境を整えていってほしいと思います。