義母と娘のブルース最終回

楽しみにしていたドラマが終わってしまいました。

娘は、実の両親が亡くなって以来10年間育ててくれた義母に対し、恩を感

じ、自分の夢を捨て、義母がこれから自由に生きるようにとり計ろうとしま

す。それに気づいた義母は、自分も幼少時に両親を亡くした過去を話して次の

ように言います。

あなたを育てると口では言いながら、私はその実、満たされなかった自分を哀れみ育て直していたのです。貴方は私に利用されただけ。だから恩に着る必要など何一つないのです。

それに対し娘は、お母さんばかじゃないの、と泣きながらいいます。そして言

います。世間ではね、そういうのを愛って言うんだよ。

いや、泣けました。綾瀬はるかが演じる義母のエキセントリックな言動に、笑

いながら、いつしかツボにはまってしまいました。義母の台詞をもう一度、見

てみましょう。これは、どの親子にもいえる関係なのではないでしょうか。ス

トイックな義母だから、クールで突き放したような言い方をしていますが。子

育ては自分育てだ、という言葉があります。子どもを育てているつもりで自分

が育てられているという意味です。義母は、そのことを「利用」という言葉で

表しています。ギブアンドテイクの関係だから、恩に着る必要はないといいま

す。このあたりが元キャリアウーマンという設定の脚本のうまさです。しか

し、娘は、それらすべてを愛という言葉であらわします。義母は、はっときづ

いた表情になります。幼くして親を亡くし、愛を知らずに育った義母は、ここ

で今まで娘に対して行ってきたことが、まさにそれだと気づいたのです。

親子は、当たり前のように愛を与え、愛を受け取り、それをあまり意識するこ

とはありません。どちらかというと、相手に対する矢印が一方向の感情になっ

てしまいます。このドラマを見た人たちが、実は双方向の愛と呼ばれる感情で

親子がつながっている、ということを再確認できたら素晴らしいな、と思いま

した。

 

義母と娘のブルース DVD-BOX

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