未来少年コナン
どれだけの人が、このTVアニメの存在を知っているでしょう。
宮崎駿の実質上のデビュー作は、NHKの30分間のアニメーションとして放映さ
れました。今からちょうど40年前の話です。私はそのころは大学生で、毎週
この放送を楽しみにしていました。原作は、アレグザンダー・ケイの「残され
た人々」ですが、内容は全然異なるもので、宮崎駿の世界といってよいでしょ
う。
核戦争後の世界を描いたもので、主人公のコナンとラナという女の子を中心に
話が展開していきます。このラナの女性像はその後、クラリスなどのキャラク
ターに活かされているのだと勝手に思っています。
さて、未来少年コナンは、子供向けに作られているのですが、大人でも十分に
鑑賞に堪える中身となっています。特にそのセリフで印象深いものがありまし
た。私にとって忘れられないのは以下のものです。
人間は一人で生きてはいけない。いや、一人で生きてはいけないのだ。
これは、コナンの育ての親である、おじいが死ぬときに言った言葉です。記憶
だけで書いていますので、正確かどうかはわかりませんが、このような意味
だったと思います。
今の時代から考えても、重い言葉だと思います。一人で生きていくことはでき
ない、とはよく言われる言い方ですが、現代では物理的には可能です。煩わし
さから、人と交わらず、孤立を望む人も多いのではないでしょうか。おじい
は、それではいけない、というのです。特に、コナンはおじい、と二人だけで
残され島で育ったので、人との交わりがなかったからこそ、そのような言い方
をしたのでしょう、あえて人と関われと。
今、自助、公助、共助という言葉が重要視されています。昔とは違い、人との
関わりが薄れ、コミュニティの存在もなくなりつつあります。同時に、人と関
わる術も持てなくなってきている状況の中、自分と他者をどのようにとらえ、
人ととのより良き生き方を模索することが、現代人の課題です。
たまたまTV番組表を見ていた時に、BSで未来少年コナンが放映されているのを
知り、なつかしさに筆を執りました。