事なかれ主義と子どもの成長
今年の夏は暑かった、とまだ過去形にできないようで残暑もきついとの長期予
報が出ています。子どもを預かる学校現場は気が気では無いでしょう。特にこ
れから運動会が予定されているところなど、健康安全対策に余念が無いことで
しょう。誠にお疲れ様です。
ところで、今組体操はどれぐらいの割合で小学校で運動会種目として残ってい
るのでしょうか。ご承知の方も多いでしょうが、体育のカリキュラムに組体操
はありませんから、授業で行う必要がないものです。ですからもちろん、運動
会でも。しかし、学校では、カリキュラムにないものでも行事として実施する
ものも多いのです。私は、組体操否定派ではなく肯定派です。組体操がフェー
ドアウトしてきているのは、大きな事故が多発したことがあったからです。
学校は、「もし、事故が起きたらどうするのだ」という言葉に弱いです。なに
せ、子どもの体と命を預かっているわけですから。そこで事なかれ主義がはび
こります。「よかれと思ってやっていることを批判されたら割に合わない」そ
ういった風潮が流れることを懸念します。特に、若い先生方の間に。昔は、学
校や先生がやろうとしていたことを保護者が陰に日向に後押ししてくれたもの
です。ですから、自分たちにゴーサインを出せた。しかし現代は、今そこにあ
る危機感を考えてしまう。そうすると躊躇してしまう。たしかに、昔と違って
今の子の体力、持久力、耐性のなさは驚くほどです。それは、体力テストの数
字をいっているわけではありません。別の言葉で言うと、生命力と言っていい
かもしれません。
先ほど、組体操を例に出しましたが、下で支える子も、真ん中で均衡を保つ子
も、一番上でバランスをとる子も、一人はみんなのために、みんなは一人のた
めにを合い言葉に歯を食いしばる姿は感涙ものです。そういったみんなで作り
上げる成就感や達成感がなければ、なんのための教育か学校かと思ってしまい
ます。今年は、暑さ対策とやらで、運動会の半日実施の学校が増えるのでしょ
うか。その内容も、練習をあまり必要としない徒競走や集団競技ばかりで団体
演技などはあるのでしょうか。もしそうだとしたら、これからの子どもたちの
成長のために大きな損失になってしまう気がしますがいかがなものでしょう。